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あおやまクリニック

漢方の基本となる捉え方について

漢方では、体全体のバランスから不調の原因の種を取り除きます

漢方では、体全体のバランスから不調の原因の種を取り除きます

西洋医学では、病気や症状が病気の「芽」として表面化して初めて、それに対する治療ができます。検査によって原因となる病気の「種」を見つけられれば根本的な治癒ができますが、原因が分からない場合は「芽(症状)」をつかみとるだけの治療しかできません。
漢方では体全体のバランスをみるため、まだ症状や病気として表面化していない病気の「種」(未病)を見つけることができます。そしてバランスを崩している原因であると種を取り除くことで、その人本来の健康な状態に戻すことができるのです。

西洋医学

病気の「芽」を取り除く。

病気の「芽」を取り除く。
→

種は残ったままなので、
再び病気の「芽」が現れることもある。

種は残ったままなので、再び病気の「芽」が現れることもある。

漢 方

病気の「種」を取り除く。

病気の「種」を取り除く。
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未病の段階で種を取り除き、
健康な体に。

未病の段階で種を取り除き、健康な体に。

漢方理論① 陰陽(いんよう)

あらゆるものは、対立する2つの性質に分けられます

あらゆるものは、対立する2つの性質に分けられます

漢方の理論は、東洋哲学に基づき身体や病気をとらえることで確立されたもので、その根底にある理論の1つが「陰陽」です。自然界のあらゆるものは「陰」と「陽」に分けられるものとして、どちらか一方だけでは成立せず、切り離すことができないという考え方をします。
たとえば昼は「陽」で夜は「陰」、男性は「陽」で女性は「陰」に分ける、等です。

漢方では、人間の体も自然界の一部であると考えます。このため、陰陽は人間の体にも当てはまり、体の構造やはたらき、病気の仕組み、治療法などを陰陽で説明することができ、陰陽のバランスが崩れた時に不調が生じるとされます。

「陰証タイプ」と「陽証タイプ」

「陰陽」を取り入れて、患者さまの体質や病気の進行を診断できます。陰が過剰になって陽が不足した「陰証」と陽が不足した「陽証」に分けてとらえます。
漢方治療では、「陰陽」のうちどちらの体質に傾いているかを診断することが、治療を決めるうえでの一つの指標になります。

陰証タイプ

・体質は痩せていて顔色が青白い
・寒さが苦手で冷えの症状があるタイプ
・病気の進行という視点では、病気が進んで 体力が落ちた状態

陽証タイプ

・体質は筋肉質のがっしりした体形
・暑がりで胃腸が丈夫なタイプ
・病気の進行という視点では、病気に対する 反応が高まっている状態

漢方理論② 五行(ごぎょう)

自然界や人間の体は、木・火・土・金・水から成り立っています

自然界や人間の体は、木・火・土・金・水から成り立っています

自然界に存在するものはすべて木・火・土・金・水(もく・か・ど・ごん・すい)の5つの要素に分けられ、それぞれはたがいに作用し合ってバランスをとり、存在していると考えられています。その関係には相手に対して働く「相生(そうせい)」と、相手の勢いを抑制する「相克(そうこく)」があります。
漢方では五行説をもとに五臓論といって、人体を「肝・心・脾・肺・腎」の5つの機能系に分けてとらえます。相生や相克といったバランス関係は五臓にも当てはまり、五臓が互いに協力し合い、バランスを保つことで健康が維持され、バランスが崩れると不調となって現れます。
五臓は生命活動を維持するためのエネルギーである「気」を全身に巡らせる役割があり、西洋医学でいう臓器よりも広い意味を持ち、器官全体の働きや生理機能も含めて五臓ととらえます。
たとえば「肝」は、西洋医学では主に血液中にある有害な物質を解毒・排出するという作用がありますが、漢方ではその他に全身の血液が過不足なく流れるように調整したり、「気」や主に血液のことを指す「血」を巡らせ足りする作用等もあります。
漢方治療では五臓のうち、どこの機能が高ぶっているのか、または低下しているのかを見極めることが治療を決定する重要な手がかりとなります。

漢方理論③ 気血水(きけつすい)

体を構成している3つの要素「気・血・水」が体内を巡っています

体を構成している3つの要素「気・血・水」が体内を巡っています

漢方では体を構成している3つの要素を「気」「血」「水」といい、いずれも体内を巡っています。
気は「元気」「気力」「やる気」などの気と同じで、目に見えない生命エネルギーのようなものを指します血は文字どおり血液のことですが、漢方の場合は更に体内にある血液以外のすべての液体を指し、リンパ液などの体液や尿、分泌液、傷を負った歳の浸出液も含まれます。
気、血、水はたがいに助け合い、関わり合うことでバランスを保ち健康を維持しています。たとえば気は血や水の生成を促し、血の栄養分は気の働きを支える材料となります。また、水は気や血とともに全身を巡って、気や血の機能を支えています。しかしそれぞれが不足したり、過剰になったり、巡りが悪くなったりすると、気、血、水のバランスが崩れて不調が現れます。

気の異常 症状の名称 主な症状
気虚(ききょ)…
気の量が不足した状態
気力や体力が低下して食欲がなくなり、疲れやすくなります。不正出血、胃もたれ、下痢等、消化器の機能低下による症状が出ます。
気滞(きたい)…
気の巡りが悪くなった状態
自律神経のコントロールがうまくいかず、精神的に不安定になります。イライラや不眠、頭重感などの症状が出やすくなります。
血の異常 血虚(けっきょ)…
血の量が不足した状態
めまいや立ちくらみ、肌荒れ、乾燥肌、手足の冷えやしびれ、不眠、不安感等の症状が出ます。
瘀血(おけつ)…
血の巡りが悪くなった状態
赤ら顔、舌の裏の静脈の変色(紫)、肌荒れ、吹き出物、便秘、身体の冷えやほてり、生理の異常等の症状が出ます。
水の異常 水滞(すいたい)…
水の巡りが悪くなった状態
むくみ、手足や全身のだるさ、めまいや吐き気、肥満等の症状が出ます。

漢方治療では、気、血、水に異常がないか診断し、気が不足していれば気を補う、気の巡りが停滞して入れば気の巡りを良くするといったように漢方薬などによる治療法が決まります。

「気」・・・人間の生命活動の源。気力や元気などのこと。
「血」・・・各臓器に栄養を当てる力。血液のこと。
「水」・・・全身に潤いを与える力。血液以外の体液のこと。

漢方理論④ 証(しょう)

治療の指針となる患者さまの姿

治療の指針となる患者さまの姿

「証」とは、漢方でいう患者さまの体質や病態の特徴のことです。
体力や抵抗力、熱の過不足、身体の表面の病気か内部の病気かの判断、病気の進行具合など、様々なものさしを使って総合的に診て、それぞれの「証」を導き出していきます。

四診によって、まず「陰陽」「虚実」「寒熱」「表裏」から体質を診断し、「気血水」「六病医」「五臓」などで「証」を正しく捉え、最適な治療がおのずと決まってきます。

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